社労士会労働紛争解決センターあっせん申し立て紛争の理由やその件数、和解金について

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特定社会保険労務士が活躍する紛争解決の実態

社労士会あっせん件数

月刊社労士9月号に全国社会保険労務士会連合会で全国の都道府県社会保険労務士会が設置している「社労士会労働紛争解決センター」のあっせん申し立てした労働トラブルについて7月末までの状況が発表されています。

特定社会保険労務士とはあっせん申立の代理人を行う仕事です。

紛争解決手続代理業務試験が今年で9回目となりますが、過去の8回の特定社会保険労務士の合格者数は12225人でこれらほとんどの人が既に登録済みであると単純計算して現在特定社会保険労務士の数は約1万2千人です。

この特定社会保険労務士の登録者数がが多いか少ないかは別として、社労士会の紛争解決センターを利用したあっせん制度の対象件数が社労士会紛争解決センター開設以来本年7月までの対象期間で315件であるそうです。この数はわたしなどが指摘するまでもないですが特定社会保険労務士の数と比較しても少なすぎるのではないかと思います。

特定社会保険労務士が今後労使紛争分野に介入して活躍していく場合どのような視点、どのようなアプローチがあるのか今回の発表を元に探ってみたいと思います。

労働トラブルがあるときの特定社労士の活躍について

あっせん代理人の内訳

申し立ての内訳を見てみますと労使紛争を申し立てするのは圧倒的に労働者のほうが多く315人中272人と86.3%を占めています。これは労働契約とは労使間の対等の立場での契約でありますがやはり労働者は弱い立場にあり、使用者による一方的な対応が多いことを示していると思います。

労働者側からのあっせん申し立てを社労士会の労働紛争解決センター利用する場合、特定社会保険労務士が代理人となる割合は272件中35件となっています。これは60万円の制限があるために代理人にはならずに補助的役割で支援している数もあるとのことですが、割合にして12.9%となれば決して多いとはいえないと思います。

それに対して申し立てを受けた経営者側に対して代理人として特定社会保険労務士がつくケースは5件、パーセンテージにして1.8%です。参考として弁護士に依頼するケースは25件で9.2%と5倍の差がついています。

一般的な中小企業が社会保険労務士を顧問先としている割合はおおよそ3割くらいと言われていますが、ひとたび労使紛争となった場合に社会保険労務士に相談して代理人として対応を依頼する場合はごくわずかで、じっさいは弁護士にお願いしている実態が浮き彫りになっています。

普段から経営者と接して労務管理分野を委託されている社会保険労務士が労使紛争ではあまり期待されていないことは特定社会保険労務士は反省すべきことではないかと思います。

ここまでのまとめとして

  1. 社労士会のあっせん制度利用は全体として少なすぎる315件
  2. 労使紛争のあっせん申し立ては圧倒的に労働者側が多い
  3. 経営者が労使トラブルになると弁護士に頼る

社労士会紛争解決センターの終了事由と今後の特定社労士の活躍の可能性

あっせん和解金

まずは、申し立てに至った経緯は総合労働相談所の相談内容からセンターへの引き継ぎという形であっせん申し立てにいたったケースが47.6%と一番多いです。

これはひとえに社労士会などの相談所でも社労士会の紛争解決の利用を促している結果とも言えるのではと思います。社労士であるなら、やはり社労士会のあっせん申し立て制度を積極的に活用したいものです。

また、あっせん制度の終了事由として一番多いのが不応諾であり42.9%であり、和解に至るのは315件中118件と全体の37.5%に過ぎません。紛争解決機関として37.5%とは決して評価できる数字とは言い難いですが、社労士会によるあっせん制度に制限がある以上これをクリアしていくのはなかなか難しいハードルではないでしょうか。

また、あっせんにいたる紛争事由と和解金について見てみましょう。解雇や退職を理由とした紛争事由が相談全体の315件中158件と全体の50.2%と約半数を占めており、つぎに多いのが賃金未払い問題で78件の24.8%となっております。

これは労働局の労働相談コーナーなどによせられる相談と比べましてもそれほど大差はないと言ってよく、全国的によくある労働問題が他とかわりなく取り扱われていることを示しています。

それにたいして双方が合意した時の和解金額についてですが、こちらは100万円未満の和解金額が78%をしめております。この金額は労働審判や労働局のあっせんに比べ低額であるといえます。

一概には言えないかもしれませんが、この数字だけから判断するなら社労士会の労働紛争解決センターのあっせん制度を利用することは会社にとっては有効ということが判断できるのではないでしょうか?

最後に全体のまとめとして以下のことが言えるのではないでしょうか。

  1. 社労士会の紛争解決センターでの解決にいたる割合が多いとはいえない
  2. 解決にいたっては会社側に比較的有利な解決が多い?
  3. 企業への顧問が多い社会保険労務士がもっと積極的に利用する価値はあるのではないか?

いかがでしょう、ご意見のある方はコメント欄にお願いします。

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