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特定社労士が労働相談をするときの問題点
労働者側の労働問題に取り組みたいと考える社会保険労務士が増えています。また社労士資格の取得をめざすのも社労士になって労働者の為に働きたいからという人に出会うことが少なからずあります。
労働者のおかれた立場を重視して社労士が労働問題を労働者側として参加することに関しては喜ばしいことだと思います。
そのような中で、わたし自身労働者側の労働相談をかなり経験していますが、最近いくつか気になったことがあります。
今回は労働者側の労働相談をはじめるにあたって社労士として考えてみたいことについて共有してみたいと思います。
労働者の相談に裁判官になったように振る舞う社労士
実際に他の多くの社労士による労働相談を見ていると、まるで相談を受けている自分が労働問題の裁判官であるかのように中立の姿勢を見せる社労士がいます。
もちろん、労働者は弱い立場だからいつでも労働者に肩入れして労働相談を聞くべきだと主張したいわけではありません。
中立な姿勢を心がけることも大切だと思います。
しかし、社労士に労働相談を持ち込む労働者というのは多くの場合、ワラをもつかむ思いでお願いしに来る人が多くいるのです。
裁判を考えているのなら最初から弁護士に相談するでしょう。次に労働基準監督署で常時開設されている労働相談窓口などを訪れると思います。
そのような中でどこにも相手にされなかった労働者が最後にお願いするのが社労士の労働相談ということが多いです。
そのような労働者の場合、基本的に労働トラブルになった時の証拠など持っていません。自分の抱える問題がどの程度法律に触れた問題なのかも理解してない場合がほとんどです。
そのような相談者に対して、
「証拠持ってこなきゃ、あなたがいくら主張したって証拠がなきゃ、こっちだって、はいそうですか、と言えないよ」
このような回答も当たり前といえば当たり前で、このような対応が客観的で中立的とも言えるかもしれません。
しかし、多くの労働トラブルの場合、特に零細企業などの場合、労働者が日頃の経営者側の法律違反の証拠などを持っていることというのは少ないことが多いです。
社労士が労働者側の労働相談をすることについて
はじめて労働者からの労働相談を受ける時、わたしは先輩社労士から労働相談をする姿勢について、何か指導やアドバイスを受けたことがありません。
当然ですが、社労士ですので最低限の労働法の知識と、労働トラブルを解決したり紛争を予防したりするための手段は知っていました。
しかしどのような態度で労働者と接し、対面するべきなのか等の指導や助言は聞いたことが無いです。
おそらくこれから労働者側の労働相談をやりたいと考えている方等も、先輩社労士から労働相談の方法等は誰からも学ぶことも無くいきなりぶっつけ本番で労働相談をこなしていくことになるでしょう。
社労士が労働相談をする時に「これこそが正しい労働相談の姿勢」という模範となるようなモデルというのは確立されてはいません。
しかし、経営者側のの労務顧問に関してはその歴史や経験は先輩社労士たちはかなりもっています。
そこで、経営者からの労働相談をうける場合を考えてみてください。おそらく、経営者からの相談に中立的な対場で上から目線で指導をする社労士はいないでしょう。
多くの社労士は経営者に寄り添って合法的範囲内で経営者に出来るだけ有益となる助言をするというのがほとんどだと思います。
労働者側の労働相談をする機会
労働者から労働相談を受ける機会というのは社労士事務所の看板を出していても勝手に舞い込んでくることはまずありません。
労働相談を受ける最初のきっかけはおそらく社労士会や支部会の無料相談会のような催し、あるいは労働局での行政協力などではないかと思います。
労働者側の労働相談というのはお金になりにくいという現状があります。また、弁護士にも労働基準監督署でも聞いてもらえなかった相談というのは非常に複雑なケースが多く、それでお金にならないなら、最低限の一般的な労働知識を説明して早々に終わらせたいと思う人も中にはいるかもしれません。
しかし、特定社会保険労務士という資格がなかなか世間的に認知されていない中で、特定社労士に個別紛争解決が可能な資格の意義というのがあるなら、弁護士や労基署ではなかなか受けてもらえないような問題こそ活躍する糸口があるのではないのかと思っています。
しかしながら、実は今までわたし自身いろいろな取り組みをしてきたのですが、「言うは安く行うは難し」でうまく形になっていないというのも事実です。
これから労働者側の労働相談をドンドンやってみたいという社労士を目指す人が増えてくるのなら、また道が開けるかもしれません。
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