「資格を取ると貧乏になります」は本当か?社労士資格の実態

資格をとると貧乏になります(新潮新書)

佐藤留美さんというライターの方が書いた新書「資格をとると貧乏になります」という本が話題を読んでいます。

以下宣伝コピーの引用

「一流の資格さえ持っていれば食いっぱぐれない」なんて考えたら大間違い! 近年、規制緩和によって資格取得者の数が激増。その割に仕事は増えず、過当競争とダンピングが常態化し、「資格貧乏」があふれかえっているからだ。資格ビジネスの知られざる裏事情を解説すると共に、「資格を上手に生かすための戦略」

この資格貧乏の中に弁護士、公認会計士、税理士、をとりあげ、社会保険労務士も取り上げられているです。

社労士が取り上げられているのなら読まずにいられません。さっそく読んでみることにしました。

資格を取ると貧乏になりますを読んだ感想

いや、なかなか興味深い内容でした。社労士に関しては後で書くとしてまずは弁護士さんに関して書かれた内容について、

国税庁の調査によると(2011年)、「所得100万円以下の弁護士」は、登録弁護士の8割を超える2万7094人のうち実に22%にも及んだ(所得は収入から必要経費を引いた金額で、サラリーマンの「手取り給与」に近い。また、ここで対象になっている弁護士は個人事業主であり、法律事務所に所属する者は対象ではない)。つまり、5人に1人が生活保護受給者並みの低所得にあえいでいるというのだ。しかも、その割合は年々増加傾向で、2008年は約12%だったのが、2009年には約20%に急増、そして2011年はまた2ポイント増えた。

さらに驚かされるのが、「所得100万円超える500万円以下」の弁護士も19%に達し(2011年)、全体の約4割が所得500万円以下だというシビアな現実だ。

弁護士さんで所得が100万円以下の弁護士さんが5人に1人とのことです。ちょっと驚きですよね。ただし所得ですから、「生活保護受給者並み」みたいに書かれていて一見ヒドい数字に見えますが、実態はそれほどでもないのではないかなと思います。

弁護士さんが大変だなと思うのは、弁護士さんの会費が月5万円だということです。弁護士を名乗るために月に5万円も払わないといけない、ちなみに社労士は月7000円だったかな、それでも高いと内部でブーブー言ったり払わなかったりする人がいるくらいですが、弁護士さんと比べたらたいしたことないです。

それに弁護士さんは自宅開業している人というのをみたことがありません。どんな若手の弁護士さんでも駅前の事務所を借りて開業しています。事務所経費と会費だけでも月に最低10数万円が必要になります。その辺の経費が社労士と比べたらかなり違って若手の弁護士さんは大変だろうなと思います。

しかし以前このブログでも取り上げた士業の年収と実態について書きました通り弁護士に関しては一時的に厳しい現状であろうとももともと能力の高い人の集まりなので克服していく人たちだろうと思っています。

士業の平均年収ランキング気になる一番稼げる資格はどれだ?|社労士勉強応援ブログ

 資格を取ると貧乏になる社労士

では、我らが社労士はどう書かれているでしょうか。

その前にまずは気になったことをちょっと引用します。

社労士や行政書士を束ね、人事系コンサルティングを手掛ける株式会社ブレインコンサルティングオフィス代表取締役の北村庄吾氏は、「社労士資格は転職にまったく有利にならない、かえって邪魔です」と断言する。

「まず、中小企業に転職しようとしたら、社労士は、変に労働条件や労働法を知っちゃっているので、経営者にとっては『うざい社員』になる」

経営側からしてみたら、従業員に払う給料は「コスト」だし、手厚く待遇したいが、し過ぎると経営を圧迫するため適度に収めたいのが本音。ところが社労士は、労働者の味方としての立場に付きがちなため、経営と対立する可能性がある。「知り過ぎた男」は、扱いに困るのだ。

社労士の通信講座をやっているクレアールで講師をやっている北村庄吾さんがこんなことを言っていますね。

大丈夫なんですかね、この人、社労士受験の講師やってる人がこんなこと言って、かたや「資格を取ると貧乏になる」のなかでリップサービスをして、かたや通信講座のクレアールで社労士講師をやって社労士資格を目指す受験生に教える。またPSRという新人社労士の開業セミナーみたいなものもやるという。ビジネスとはこう手広くやるものだと言っても、もう少し節操があってもいいのではないかなと思います。

ここで、北村さんが言ってる「中小企業に転職しようとして社労士資格があるために労働法を知っちゃって「うざい社員」になるからかえって邪魔になる」ということはまず無いので安心してください。

社労士の資格や労働法を知っているから「うざい社員」になるかどうかなどは本人の資質であって社労士の知識が中小企業での活躍に邪魔になることは無いと思います。

逆に社労士資格があるという理由から「うざい社員」と見られるような会社があるとしたら、いったいそれはどんなブラック企業だ?と転職は避けた方が良いでしょう。

社労士資格を取ると貧乏になるか?

では、社労士の資格を取ると貧乏になるかとの意見に以前わたしが書いた記事ですが、

社会保険労務士は開業しても3年は食えないはほんとうか開業社労士の実態|社労士勉強応援ブログ

この中でも書いたように、社労士資格を取得したら最低限食っていけます

また、大企業で高待遇で働いていた人ならば何らかの計画が無い限り不用意に開業しても貧乏になるでしょう。

しかし、社労士資格を目指す人は30代の会社員であったり、育児のために一度会社を辞めてキャリアにブランクがある主婦だったりする人が多いです。

そのような人の場合、たとえば育児をしていた主婦は旦那さんの収入以外に自分の収入が無いのでそれ以上貧乏になるということも無いと思います。

30代の会社員で開業を考えている人も計画があって資格取得を目指していますよね。事実30代で開業して事務所を大きくして数千万円稼いでいる社労士は何人か知っています。

また行政協力などの仕事をつなぎ合わせながらも少しずつ事務所経営を軌道に乗せようと努力している開業社労士もいます。

そういった同僚の社労士と話していて共通する考えは、一度独立すると人の下で働くくらいなら独立をつらぬいてなんとかすると言っています。

そう考えると社労士資格に関しては資格を取ると貧乏になるなんて考え方自体が意味ないものだと思います。

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